お知らせ

京都コングレス最終日 法の支配ピアノコンサートのメッセージ

 

【経緯】

2021年3月12日、京都コングレスの最終日、国立京都国際会館のメイン会場スクリーン上で

「法の支配・ピアノコンサート」のビデオが上映されました。

法の支配とピアノコンサートとは、一体どういう繋がりか分からないと思われるのは無理もありません。

そこで、経緯から説明します。

 

ACPFにこのピアノコンサート企画の情報が入ったのは、2021年2月9日のことでした。

ACPFのウィーン駐在代表のヨランタ・レドさんからメールが入ったのです。

<ヨランタ・レド氏>

 

 

「15分間のRule of Law Concert」で、国連薬物犯罪事務所(UNODC)事務局の企画であり、

その他に国連の諮問資格を有するNGOの数団体もこの企画に参加するということで、

ACPFもスポンサーとして加わらないかという打診です。

 

ピアニストは、欧州で著名なナタリア・レーリング(Natalia REHLING)

演目は次のクラシック3曲。

  • 「革命のエチュード」(ショパン)
  • 「大ソナタ悲愴」(ベートーベン)
  • 「歓喜の歌」(ベートーベン)

 

さて、その趣旨が今ひとつピンとこなかったのは事実ですが、新型コロナ感染の影響を受けてレセプション等が中止となり、

「音楽の都・ウィーン」ならではのアイディアであり、刑事司法分野だけではなく、

文化・芸術の分野でも貢献することも重要と感じました。

 

そうしているうちに、2月下旬になり、レドさんから、龍安寺の「石庭」の写真を動画に取り込みたいという要望がなされ、

紆余曲折はありましたが、龍安寺からHPの写真の使用許可を得て、これが組み込まれました。

 

 

ウィーンにおけるピアノ演奏の段取りや録画、各種交渉については、ACPFとしてはレドさんにお任せしましたので、

上映当日まで、どんなものか知る由もありません。

 

 

【ピアノコンサートの内容】

 

15分ビデオとして上映される予定でしたが、京都コングレスの段取りの都合上、突如7分に短縮され、

これに対応するのも大変だったようです。

そして、いよいよ3月12日午後からピアノコンサートの上映が始まりました。

 

<ウィーン国連本部>

 

スクリーンには、ベートーベン像、ショパン記念碑、ウィーンの街並みが映し出され、

ナレーションで紹介されていきます。

 

<ベートーベン像>

 

<ショパン記念碑>

 

 

その中にあって、龍安寺「石庭」の画面になったところで、

次のメッセージが流れました。


 

There are 15 stones in that garden. Whatever is the vintage point only 14 can be seen.

The last stone is always hidden behind.

As we live and tour we learn and agree that “accessing justice” always requires enlightenment with which we may advance and modify our justice perspectives at home and abroad. Attaining justice is like attaining prosperity without crime.

In reality, it would be difficult to have a society free of one or another. However, through the enlightenment we aim at crime prevention and criminal justice which should be effective, humane and transformative.

The 14th United Nations Congress on Crime Prevention and Criminal Justice in its Kyoto Declaration paved the way to this end.

 

(要旨)

龍安寺石庭の15石は、15番目の石が存在するけれども14石しか見えない。

刑事司法に携わる者としては、常に正義・真実、それはなかなか見えないものであり、或る意味で似ている。

犯罪なき繁栄を達成するのは困難であるが、普段から改善・改革をしていかなければならず、不断の努力と工夫が必要である。

第14回コングレスは京都宣言でその道を示した。

 


 

そして、ショパンのピアノ曲「革命のエチュード」が流れ、

最後に制作協力者の画面、協力団体のロゴが映りました。

 

<ピアニスト ナタリア・レーリング>

 

<ピアノコンサート 協力団体ロゴ>

 

 

7分ものに短縮されたため、最後は一瞬でしたが、本来の15分ものでは十分に存在感を示していました。

 

7分ものはこちらでご覧になれます→京都コングレス・ピアノコンサート

 

 

【素晴らしきメッセージ性】

 

見終わって、レドさんを始めとする方々の企画の趣旨が読み取れました。

主に3つです。

 

●龍安寺「石庭」の15番目の石が見えない点を、「正義」「正義の実現」実現になぞらえており、

開催地「京都」と結びついている。

 

●その「15」という数字は、京都コングレスが第14回であることから、

その最終日に上映することで、次の第15回国連犯罪防止刑事司法会議に繋がること、

そして、それはまだ見通せていない。

 

●また、ピアノ演奏の選曲自体に意味がある。

つまり、ショパン「革命のエチュード」で、常に改革が必要なことを意味し、

ベートーベン「大ソナタ悲愴」と「歓喜の歌」で、コロナ禍の困難からコロナ克服後の

喜びへと向かうことを表現している。

 

なお、「大ソナタ悲愴」は短縮版編集のためカットされた模様ですが、

同じピアニストによる演奏の視聴は可能です→こちらをクリック

 

以上は、私が感じたままのことであり、合っているかどうかは分かりません。

しかし、このような暗示・暗喩が込められていると解釈できるという意味で、

実に趣のある、そして素晴らしいメッセージになったと思います。

 

(山下輝年記)